2017年09月13日

馬鹿殿様

 「馬鹿殿様」というのは、
 実は非常な褒め言葉なんであります。
 大勢の家来の中には下らない奴もおるだろうし、
 悪い奴もおる。
 しかも自分の上には目を光らせている
 意地の悪い幕府当局がある。
 その中で悠々と藩を維持していくというのは、
 なまじ小利巧な殿様ではとてもできたものじゃない。
 よほど馬鹿にならんと治めていくことはできない。
 『論語』にも、「その知及ぶべし、その愚及ぶべからざるなり」
 (「公冶長【こうやちょう】篇」)という名言がある。
 馬鹿殿様というのは、
 その「愚及ぶべからざるなり」という意味で、
 わかったようなわからんような、
 悠々として、すべてを包容して、
 事なく治めていくなんて、小利巧な人間、
 小才の人間ではとてもできる芸当ではない。
 「馬鹿殿様」というのは、
 その意味でもおもしろい、
 活きた言葉であります。
(先哲が説く指導者の条件 19P)
posted by ハジャケン at 09:57| 山梨 ☁| 安岡正篤 一日一言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする